――――翌日
「おい?お前いい加減そのダサい指輪はずしたら………」
喪「いいんです。これは僕の大事なものなんですから」
水銀橙……彼女とあえる時間は少ない………でもそれははかなくはない………
積み重ねるたびに大きく輝く時間。
ふと指輪に目を落とす。
指輪は太陽の光を浴びてひときわ美しく輝いていた。
水「真紅ぅ…今日こそアナタのローザミスティカを………」
真「待ちなさい!!」
水「なぁに…もしかして怖気づいたのかしらぁ?」
真「翠星石…水銀燈に渡してあげて」
翠「わかったですぅ!!水銀燈ありがたく受け取りやがれです!!」
水「なに……これは……?」
真「いいから…今日はこれをもって大人しく引き下がりなさい」
水「なんですって……?真紅一体アナタどういうつもり………」
真「金糸雀!!引くわよ!援護してちょうだい!」
金「言われなくてもわかってるのかしら!!このローゼンメイデンでもナンバー1の策士……」
翠「金糸雀!!ごたくはいいからささっとしやがるです!!」
金「わ、わかってるのかしら!!」
水「逃げるつもり真紅!!戻ってらっしゃい!!」
雛「嫌なの〜今日は女の子にとっては大事な日だってノリがいってたの〜」
水「どういうこと!?待ちなさい真紅!!アナタのとの決着がまだ……くっ!!」
翠「バイバイなのですぅ水銀燈〜♪雛苺も早く来るです!!」
雛「うにゅ〜雛も水銀燈のものを見たらおなかへったの〜」
翠「帰ったらいくらでも食べられるです! …まったく世話が焼けるです」
水「待ちなさい!!待ちなさい真紅!!……クッ!!邪魔を…!!」
蒼「…いいの真紅こんなことして?水銀燈がこれで引くとは思えないけど…」
真「いいのよ蒼星石。あの子も今日ぐらいは戦うことはないのだから………」
蒼「……真紅………君は変わったね。クスクス……これもジュン君のおかげかな?」
真「ば、馬鹿をいいなさい!!ほら行くわよみんな!!」
水「こんな茶番許さないわよ!!こんなこと私は許さない!!」
喪「ああ……今日はバレンタインデー……水銀燈と初めての……ぐふふ………」
喪「ってそんなこと期待するだけムダか……普通の女の子ならまだしも…水銀燈だもんなぁ…」
会社から帰ると僕はベットの上で何度も思春期の少年が抱きそうなバレンタインの幻想を描いては打ち消していた。
でも実際の所水銀燈が僕にバレンタインチョコをくれる可能性は極めて……まるっきりない。
第一水銀燈が今日が『バレンタインデ−』でかつ、女の子が好きな人にチョコを渡すなんて
ことを知っていること自体ありえない。
……仮に、もし万が一にも知っていたとしても水銀燈の好きな人が僕のはずはまずない。
水銀燈にとって僕はあくまで『糧』もしくは、どんなに良くても『契約者』。
つまりその間に恋愛感情が芽生えることなどないのだ。
実際、水銀燈が今までそんなそぶりをした事は一度もない。
………それでも僕は水銀燈からチョコを貰いたくてしかたなかった。
いつものように水銀燈が来るまでの間ぼさっとしながらテレビを見る。
テレビの画面の中ではやらせか本当かわからないが、街角のカップル達がカメラの前で何度も
「愛してる」「大好き」などとぬかして……もとい言っている。
そのカップルの男女の姿がどことなく会社の連中の顔にダブって見えた。
……結局今年も会社で僕は本命は当然のことながら、義理の一つももらえなかった。
休憩中に気の利く女子社員が皆に義理チョコを配ったらしいが、
僕の手元にはそんなチョコの姿すら見ることはなかった……
……要するに僕がいないのを見計らって配られたと考えるべきなのだろう。
落ち込むことはない……そんなのもうなれたことだ………
20数年間のこの日はいつもそうなのだから………
……実はこの日が来るにあたって密かに水銀燈にチョコを渡そうと考えていた。
そもそも女性が男性に一方的にチョコを渡すなど間違ったことなのだ。
本来バレンタインとは日ごろの感謝をこめて男性が誠意のもと女性にプレゼントを贈るのが正しい。
日本のように年間のチョコの消費量の4分の1を使って渡すなど、そんなのは邪道なのだ!
それこそ日本のチョコレート業界の陰謀なのだ!罠なのだ!
……などと頭の中で熱弁しても現実はひっくり返ることはない。
日本ではチョコをもらえるのはイケメンもしくは人気者の決まっている。
まぁ…恋人同士や夫婦ってのもあるけれど。
でも僕のような独身者にはやっぱり前者のようなイメージが強い……
いや…独身者は関係ないか……単にもてないだけか………
またため息が出る。
水銀燈にチョコを渡そうと手作りに挑戦したはいいが……
結果はゴミ箱だけが知っている……
結局、今日は水銀燈とバレンタインを過ごせるけれど、残念ながらチョコは期待できない。
まぁ…僕には今日みたいな日に美しい水銀燈と過ごせること自体奇跡に近い。
その上チョコまでねだるなんてワガママなんだろう。
「……でも水銀燈からもらえたらなぁ………」
「………」
「……」
「…」
喪「す、水銀燈!?」
水「………」
喪「き、来てくれたんだ…い、いや、来てくれたんだ……」
水「………」
喪「あ…えっと……きょ、今日も冷えるね………」
水「………」
喪「そ、そうだ!!よ、よかったら紅茶でも………」
水「………黙りなさい」
水銀燈は今日はかなり機嫌が悪いことが瞬時にわかった。
同時に水銀燈の鋭い眼が僕を捕らえる。
怒り、憎しみ、嫌悪…そんな暗く深い感情のこもった眼が僕に向けられる。
何も言えない…何か余計なことを言ったらそれこそ、
その感情の餌食になることは火を見るより明らかだった。
しばらくの深い沈黙の後、水銀燈が何か酷く残忍なことを思いついたように表情を歪める。
水「……力をかしなさい」
その言葉の意味を僕は直感のように感じ取れた。
それは僕の力を使って他の水銀燈と同じ『ドール』を殺すということを意味する事だと。
かろうじてうなずくことだけができた……
それほどまでに今日の水銀燈は怒りに満ち溢れていた。
水銀燈は外に僕を連れ出すと無言のまま夜道を突き進む……
その動きは迷いがないように思えた。
ただ目的の場所……標的に向かっていくような感じにすら思えた。
「……やっぱり来たんだね」
人通りが全くなくなった場所でその声は聞こえた。
街灯の上を見上げると、そこには水銀燈より小柄なシルクハット?のような帽子をかぶった、
一見すると美少年のような凛とした顔立ちの『ドール』が大きなハサミのような物を手に
僕らを見下ろしていた。
水「あら……お出迎えはアナタだけなのかしら……蒼星石?」
水銀燈の体から目に見えるかのような強い殺意が僕にまで伝わってくる。
蒼「僕だけじゃ役不足かい?水銀燈?」
蒼星石と呼ばれたドールは少し挑発するような態度を取ってみせる。
次の瞬間、僕が水銀燈の方を見るよりも早く、水銀燈は蒼星石に飛びかかる。
一進一退の攻防が繰り広げられるが、今日の水銀燈はまるで狂気の塊のようなもの、
僕が苦しむ姿に眼もくれずに力を放出しつつける。
僕が一息つく間もなく怒涛の攻撃を容赦なく叩きつける。
苦痛で閉じかかる眼に蒼星石が地面に激しく叩きつけられるのが映る。
その上にいつもの美しい水銀燈の姿からは想像できないような格好で馬乗りになる。
水銀燈の両手はしっかりと蒼星石の首を締め上げている。
蒼星石は眼を見開き、口をだらしなくあけて言葉にもならないうめき声をあげている。
僕はそのあまりに異様で恐ろしい光景に身動き一つ取れなかった。
……いや、実際は水銀燈の顔に張り付いている『狂気』に眼を奪われていた。
その表情はあれほど美しかった水銀燈の顔とは全くの別物にすら思えた。
水「死になさい蒼星石……」
水銀燈が小さく冷たく言い放つと同時に僕の体に激痛が走る。
水銀燈が蒼星石を本当に殺す瞬間が痛みを通して伝わってくる。
―――どうしてそうしたのかわからなかった。
―――ただ気がつけば僕の頬には涙がとめどなく流れていた。
水「……どういうつもり」
僕はその瞬間、体に残っていたありったけの力を使って水銀燈に体当たりをした。
水銀燈の両手は蒼星石の手から外れて一瞬地面を転がるとまたすぐに立ち上がった。
未だ狂気に支配された表情で蒼星石のをかばうように立つ僕を見つめる水銀燈。
その眼に睨まれても、僕は恐怖よりもただ悔しさのような悲しみだけがこみ上げていた。
水「なんのつもりかしらぁ……糧の分際で邪魔するつもり!!」
「ヒュッ」っという空気を裂く音が聞こえると頬に熱湯をかけられたような熱が走る。
アスファルトに赤い液体がぽたぽたとこぼれていく。
水「どきなさい……どかないと殺すわよ……」
喪「………」
蒼「ゲホッ…ケホッ……危険だ……いくらミーディアムといえ今の水銀燈は危険すぎる」
水「……もう一度だけ言うわ……どきなさい」
喪「……」
蒼「ボクから離れて!じゃないと君まで……」
喪「……」
水「……なら……蒼星石と共に消えなさい……」
蒼「早くそこをどくんだ!水銀燈は本気だよ!!」
喪「………」
僕は……ただ水銀燈に向かって歩き出していた。
一歩足を進めるたびに体のどこかに熱が走る。
何かがたれ落ちるような音が聞こえる。
水「なんなの!?なんなのよ!!糧の分際で!!」
体が熱い……まるで熱湯に入っているように全身が熱い。
手が…水銀燈に届く……
小さな水銀燈の体を抱きしめる……
水「ど、どきなさい!!何を……」
水銀燈の体から何か小さな綺麗なラッピングされた袋が地面に落ちる。
僕は片手で水銀燈を抱きしめたまま、それを拾い上げる。
フッと甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
同時になぜかあれほど悔しくて悲しかった気持ちが満たされていく。
まぶたが重くて開けていられなくなる。
なぜだか…水銀燈の髪を撫でた……驚いた顔で僕を見つめる水銀燈……
その表情にあの『狂気』はない…いつもの水銀燈の顔がそこにあった……
喪「よかった………いつもの……水銀燈だ……よかっ…た………」
「……私のものになりなさい」
「まずいわねぇ………」
「ホントにお間抜けな人間………」
水銀燈の顔と仕草と声が何度も浮かんでは消えていく………
でも消えるたびに何か温かいものがこみ上げてくる………
ずっとここにいて水銀燈を見ていたい……
いつまでも…いつまでもずっと…
?「だ、大丈夫なのかこの人?ニヤニヤし始めたぞ?」
?「き、気色悪い人間ですぅ……ずっとニヤニヤしてるですぅ……」
?「ほんとなの……この人怖いの………」
?「ね、姉さん……そんなこと言ったら失礼だよ」
?「こ、これはちょっと怖すぎかしら……」
?「しっ!!みんな静に!!どうやら起きるみたいよ」
目をあけるとそこには5人の少女と1人の少年が映った。
…だが僕が目を覚ますと同時に全員が後ずさりした。
喪「………ここは」
真「ど、どうやら気づいたみたいね…ここは私達の家よ」
雛「そうなの〜雛たちのお家なの〜」
蒼「……いや、ここはジュン君の家じゃないかな……」
翠「何言ってるですか?ここは私の家ですぅ!」
金「それは違うのかしら〜ここはカナの別荘なのかしら〜」
ジ「お、お前ら何を好き勝手にいってるんだ!?ここは僕の家だ!!」
しばらく少女達と少年は激しくココが誰の家かで揉めていた。
そんな光景を布団の中で横目で眺める。
意識が回復するのと同時に少女たちが水銀燈と同じドールであることがすぐにわかった。
……そうか、僕は水銀燈を裏切って……それで…あの蒼星石とかいうドールのマスターの家に
連れてこられたのか。
喪「……あ、あの…取り込み中悪いんだけど…」
翠「ぎゃぁ!!な、なんですか!!急に話し掛けるなですぅ!!」
喪「………な、な…」
喪「ちょ、ちょっとまってくれ!!」
金「ひ、雛苺!!う、後ろ!!後ろなのかしら〜!!」
雛「怖いの〜この人顔が怖いの〜助けてジュン〜」
翠「よ、よるなですぅ!!お前は顔が怖すぎるですぅ!!」
雛「え〜ん!!ジュンこの人怖いの〜!!」
喪「だ、だから……」
金「な、なぜこっちを見るのかしら〜!カナより翠星石の方が美味しいのかしら〜!」
翠「なんてことをいうですか!?お、お前!食べるなら雛苺にしやがれですぅ!!」
雛「嫌なの〜こっち見てるの〜怖いの〜」
真「とりあえずあなた達は話が済むまで向こうにいってなさい」
真紅と呼ばれたドールと蒼星石と呼ばれたドール、更にそのマスター?のジュンという少年の
3人で会話をする事になった。
……さっきの連中はソファーの上から顔を半分だけ出して警戒してこちらを見ている。
雛「さ、さすが水銀燈なの〜あんな怖い人と手を組むなんてすごいの〜」
金「そ、それは同感なのかしら〜。あんなの反則なのかしら〜」
翠「あの顔はただものじゃないですぅ…きっと極悪人に決まっているですぅ」
…言いたい放題いうあの連中はとりあえず放っておこう。
喪「……助けてくれてありがとう……僕はもうわかってるかもしれないけど……」
真「ええ…わかっているわ………」
蒼「遅れてしまったけれど…そのあの時はありがとう………」
喪「いや…気にしないでください……」
ジ「それより傷のほうは大丈夫なんですか?」
喪「ええ……おかげさまで」
社交辞令のような挨拶を済ますとすぐに話は戦い……「アリスゲーム」のことに移った。
僕の体は痛みはまだあったもののそれほどの怪我ではなかった。
真「……あなたは水銀燈が望むなら戦いに力を貸す気なの?」
喪「……それは……そうするかもしれません……」
蒼「でもあの時ボクをかばった。それはあなたが戦いを望んでいないのではないのですか?」
喪「……そ、それは……でも……もし水銀燈が望むなら僕は………」
ジ「でも戦いをとめたんでしょ?ならあなたは戦うことを望んでいないじゃないですか!?」
喪「……そうかもしれません……でも…僕と水銀燈は…戦いの中にしか絆がありません……」
ジ「そ、そんな……そんなのっておかしいでしょ!?戦いの中にしか絆がないだなんて…」
真「ジュン………」
蒼「………」
喪「すいません…助けてもらったのに……でも…僕は……そうするしかありませんから…」
ジ「そんな………でもあなただって本当は水銀燈が戦うのが嫌なはずでしょ!?」
ジ「水銀燈が傷つく姿だって見たくないでしょう!?」
喪「………すいません」
真「………」
蒼「そうですか…でもボクはまたあなたと水銀燈が戦うというなら…ボクはあなた達と戦います」
ジ「お、おい!?蒼星石まで何言ってるんだよ!?」
蒼「この人は…いや…ボク達ドールの契約の背景には皆同じじゃないんだ……ボクだって…」
ジ「真紅…お前はどう思ってるんだ………?」
真「……どうもこうもないわ。見た通りよ………」
ジ・喪「………」
僕はそれからしばらくした後自宅に戻った。
ジュンという少年の言葉が胸を刺す。
「水銀燈が傷つく姿だって見たくないでしょう!?」
………ああ、確かに見たくない。
でも……僕と水銀燈は……戦うために契約したんだ………
最初は知らなかったけれど……でも知ってからは僕は………
……でももう水銀燈と共に戦うことはない。
あの時裏切ってしまったのだから………
この指輪に痛みが走れど、それはもう僕たちの痛みじゃない………
ただの惰性から来る痛みにしか過ぎない。
水銀燈に会う前に戻ったんだ……痛みだけを残して………
バレンタインデ−が過ぎた次の日、もう二度と現れないかと思った水銀燈が僕の目の前に現れた。
お互い何も言わずにしばらく窓の空いた部屋でたたずんでいた。
もうこれで会えない気がした。
どちらともなく窓辺に並んで立った。
夜風が吹くたびに水銀燈の銀色の髪が僕の頬を撫でる。
その感触は終わりを告げるにはあまりにいとおしいものだった。
髪が触れるたびに水銀燈が好きで仕方ない自分がいることに改めて気づかされる。
これまで過ごしてきた温かい日々が心に何度も脈をうつ。
『離れたくない』
そう思った。
今更だと思ってもその気持ちはあふれ出てとどまることをやめなかった。
水「どうして…あの時あんなことをしたの」
喪「わからない……ただ……君があのまま蒼星石を殺したら……」
水「殺したら?」
喪「……水銀燈が水銀燈でなくなる気がしたんだ」
水「…でも私は前に言ったはずよ…アリスゲームに勝ち残ると……」
喪「……わかってるよ……でも……僕は……」
水「………」
喪「でも僕は!!水銀燈がアリスゲームで勝ち残らなくたって……」
喪「アリスゲームに勝ち残らなくても水銀燈は水銀燈だろ!?」
水「………」
喪「それに完全になる方法が戦うことだけじゃない気がするんだ………」
水「どういうこと………」
喪「全てのドールを見て思ったんだ……アリスは一人じゃなくてもいいって………」
喪「今の水銀燈がアリスでも僕はそれでいいと思うんだ…」
水「………そう…」
喪「水銀燈……」
水「ホント……お間抜ね……」
水「フフ……そうね…アリスは私…真紅や他の子が勝ち残っても最初からなれないもの……」
喪「水銀燈……?」
水「でも……誰かが戦いを挑んできたら私は戦うわ」
喪「それって・・自分からは戦わないってこと・・・?」
水「私はアリスなんでしょ?ならわざわざ雑魚の相手をする必要はないわぁ」
水銀燈はそのまま何も言わずに窓辺に立つ。
ただいつもの勝ち誇ったような自身に満ちた顔が月光に照らされていた。
その顔は今までみた水銀燈の中で一番美しい表情のように思えた。
水「……それとこれ片付けておいて」
ポンッと水銀燈から小さな紙袋が投げ渡される。
それは小さな紙袋だけど綺麗にラッピングされたものだった。
中をあけるとチョコレートの甘い匂いがした。
喪「これって……」
水「あなたが……欲しそうな顔してたから」
喪「いいの……」
水「なにか大切なものらしいわね……誰にとって大切かはわからないけどねぇ……」
喪「……多分二人にとってだよ」
水「何か言った……?」
喪「う、ううん!なんでもないよ!!」
水「なぁに……またいつもの顔して……ホントお間抜な人間ねぇ……まぁいいわ……」
水「……………またね」
水銀燈はいつものように夜空に小さく消えていく。
でもその姿はまた会える。
きっとまた明日にでも………